整形外科の診察室には、日々、多くの膝痛患者さんが、「テレビで見た、このサプリメントは効きますか?」と、期待に満ちた目で質問に来られます。医師として、私たちは、この問いにどう答えるべきか、常に考えさせられます。まず、医学的なエビデンス(科学的根拠)という観点から言えば、グルコサミンやコンドロイチンといった主要なサプリメントの有効性については、肯定的な研究と否定的な研究が混在しており、「全ての人に強く推奨できる」というレベルには、残念ながら達していません。そのため、医師が、薬と同じように、積極的にサプリメントを「処方」することはありません。しかし、だからといって、頭ごなしに「あんなものは効かないから、やめなさい」と切り捨てることもしません。なぜなら、一部の患者さんで、痛みが和らいだという主観的な改善が見られることも、臨床の現場では、しばしば経験するからです。それが、成分そのものの薬理学的な効果なのか、あるいは、「良くなるはずだ」と信じることで痛みが軽減される「プラセボ効果」なのかを、厳密に区別することは困難です。しかし、患者さんにとって、痛みが少しでも楽になるのであれば、そのきっかけが何であれ、それは価値のあることだと考えます。したがって、多くの整形外科医は、次のようなスタンスで、患者さんと向き合います。「サプリメントは、治療の基本である運動療法や減量を、きちんと行う上での、補助的な“お守り”として試してみるのは良いでしょう。ただし、それだけで治るという過度な期待はせず、もし試すのであれば、まずは3ヶ月程度続けてみて、効果を冷静に判断してください。そして、もし効果が感じられないようであれば、漫然と続ける必要はありません」。サプリメントは、治療の主役ではなく、患者さんが前向きにリハビリに取り組むための、モチベーションを支える一つのツール。それが、多くの医師が共有する、現実的で、かつ患者に寄り添った見解なのです。
整形外科医の視点、サプリメントとどう付き合うべきか