週に数回の筋トレとストレッチは、猫背を改善するための、非常に重要な「特別な時間」です。しかし、それ以外の、週に160時間以上もの「日常の時間」を、これまで通りの悪い姿勢で過ごしていたとしたら、せっかくのトレーニング効果は、相殺され、水の泡となってしまいます。猫背を根本から断ち切るために、最も重要な筋トレ、それは、「日常生活のあらゆる場面で、正しい姿勢を意識し、それを体に叩き込む」という、24時間体制のトレーニングなのです。まず、一日の大半を過ごす「座り方」の改革から始めましょう。椅子に深く腰掛け、お尻の下にある硬い骨「坐骨」に、均等に体重を乗せ、骨盤を床に対して垂直に「立てる」ことを意識します。頭のてっぺんから、糸で軽く吊られているようなイメージで、背筋をすっと伸ばします。パソコンのモニターは、必ず目の高さまで上げてください。次に、「立ち方」です。壁を背にして立ち、かかと、お尻、肩甲骨、そして後頭部の4点が、自然に壁につく状態が、理想的な立ち姿勢です。この感覚を、体に覚え込ませましょう。そして、現代人最大の敵である「スマートフォンの使い方」です。スマホは、顔の高さまで持ち上げて操作することを、鉄則としてください。うつむいて画面を覗き込む姿勢は、猫背とストレートネックを製造する、最悪の習慣です。これらの「正しい姿勢」は、最初は、とても窮屈で、疲れるように感じるかもしれません。それは、これまでサボっていた、インナーマッスルや背中の筋肉が、ようやく働き始めた証拠です。辛いと感じたら、無理に維持しようとせず、一度リラックスし、また正しい姿勢に戻る、ということを繰り返してください。この、意識的な反復練習こそが、正しい姿勢を、やがては無意識の、当たり前の習慣へと変えていく、最も確実な「脳の筋トレ」なのです。日常生活そのものを、最高のトレーニングジムに変えること。それが、リバウンドしない、一生ものの美しい姿勢を手に入れるための、王道です。
日常生活が最大の筋トレ、正しい姿勢を体に叩き込む