ストレッチで、硬くなった筋肉の「ブレーキ」を解放したら、次に行うべき、そして最も重要なステップが、重い頭を、正しい位置で、楽に支えるための「エンジン」、すなわち、首の深層部にある「インナーマッスル」を、再び目覚めさせ、鍛え直すことです。いくらストレッチで首を伸ばしても、支えるための筋力がなければ、首はまたすぐに、楽な、しかし悪い姿勢へと戻ってしまいます。ここで鍛えるべきなのは、首の骨(頸椎)の奥深くにあり、背骨の一つひとつを安定させる役割を担っている「頸部深層屈筋群」と呼ばれる、非常に重要なインナーマッスルです。スマホ首の人の多くは、この筋肉が弱り、機能不全に陥っています。この筋肉を、安全に、そして効果的に再教育するための、代表的なエクササイズが「チンイン・エクササイズ(顎引き体操)」です。まず、仰向けに寝て、両膝を立てます。枕は、使わないか、ごく低いものを使用します。そして、後頭部を、床の上で、ほんのわずかに滑らせるようなイメージで、ゆっくりと、優しく、顎を引いていきます。二重顎を作るような感覚で、首の前側の、深い部分の筋肉が、きゅっと収縮するのを感じてください。決して、首の後ろ側の筋肉(胸鎖乳突筋など)に力が入ったり、顎が浮き上がったりしないように注意します。これは、力強い動きではなく、非常に繊細な、神経系のトレーニングです。この、わずかに顎を引いた状態を、5〜10秒間キープし、ゆっくりと元の位置に戻ります。これを10回ほど繰り返します。このエクササイズに慣れてきたら、壁を背にして立った状態でも行ってみましょう。壁に、かかと、お尻、肩甲骨、後頭部をつけ、同じように、ゆっくりと顎を引きます。頭が壁から離れないように、後頭部で、壁を軽く押し返すような意識で行うと、より効果的です。この地味なトレーニングこそが、あなたの首を、重力に負けない、強く、安定した状態へと導く、最も確実な道筋なのです。