激しい腰痛と腹痛は要注意、「尿路結石」のサインかも
「腰から脇腹、下腹部にかけて、突然、脂汗が出るほどの、経験したことのない激痛が始まった」。もし、腰痛と腹痛が、このような激烈な形で現れた場合、その原因は、腸ではなく、「尿路」にある可能性を考えなければなりません。その代表格が、「尿路結石」です。尿路結石とは、腎臓で作られたシュウ酸カルシウムなどの結晶(石)が、尿の通り道である腎臓、尿管、膀胱、尿道に詰まってしまう病気です。特に、腎臓と膀胱をつなぐ、細い管である「尿管」に、結石が詰まった(嵌頓した)時に、七転八倒するほどの、激烈な「疝痛(せんつう)発作」が起こります。この痛みは、結石が尿の流れを堰き止めることで、尿管の内部の圧力が高まり、尿管が激しくけいれんするために生じます。痛みの場所は、結石が詰まった場所によって移動するのが特徴で、最初は、背中側の腰や脇腹(側腹部)に激痛が走り、結石が下降するにつれて、下腹部や、足の付け根(鼠径部)へと痛みが放散していきます。このあまりの痛みの強さから、反射的に吐き気や嘔吐を伴うことも少なくありません。では、なぜ下痢が起こることがあるのでしょうか。これは、激しい痛みという、体にとっての極度のストレスが、自律神経のバランスを乱し、腸の運動を異常に亢進させることが一因と考えられています。また、尿管と腸は、神経の支配領域が近いため、尿管の強い刺激が、腸にも影響を及ぼす可能性も指摘されています。尿路結石のもう一つの重要なサインは、「血尿」です。結石が尿路の粘膜を傷つけるため、肉眼で見ても分かる、赤やピンク色の尿が出ることがあります。もし、このような、転げ回るほどの片側の腰痛と腹痛が突然始まった場合は、我慢せず、速やかに泌尿器科を受診するか、夜間であれば救急外来を受診する必要があります。