猫背を改善しようと、一生懸命に、背中の筋力トレーニングに励んでいるのに、なぜか、なかなか姿勢が良くならない。その原因は、あなたが、もう一つの重要なプロセス、すなわち「硬くなった筋肉を、伸ばすこと(ストレッチ)」を、見過ごしているからかもしれません。猫背の人の体は、背中側の筋肉が「弱って伸びている」一方で、その反対側、体の前面にある「胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)」や、「首の前側の筋肉」は、常に「硬く縮こまって」います。この硬い前面の筋肉が、まるで強力なゴムのように、肩や頭を、常に前方へと引っ張り続けているのです。この状態を放置したまま、いくら背中の筋肉を鍛えて、後ろから引っ張り返そうとしても、それは、非常に効率の悪い、綱引きになってしまいます。筋トレの効果を最大限に引き出し、スムーズに良い姿勢を取り戻すためには、トレーニングと「セット」で、この硬くなった前面の筋肉のブレーキを、ストレッチによって、丁寧に解放してあげることが、絶対不可欠なのです。最も効果的なのが、「大胸筋のストレッチ」です。壁の角や、ドアの入り口に立ち、片方の肘を90度に曲げ、肩の高さで、前腕を壁につけます。そこから、体をゆっくりと、壁と反対方向に捻じりながら、胸の付け根あたりが、じわーっと心地よく伸びるのを感じます。この状態で、20〜30秒、深い呼吸を繰り返します。腕の高さを、少し上げたり、下げたりすることで、胸筋の伸びる部分が変わるのも感じてみてください。また、「小胸筋のストレッチ」も重要です。これは、肩甲骨を前に引っ張る、より深層の筋肉です。壁に向かって立ち、指先を壁につけ、そのまま、蜘蛛が壁を登るように、指を少しずつ上に歩かせていきます。腕が上がりきったところで、体を壁に近づけ、脇の下から胸にかけての部分を伸ばします。これらのストレッチを、筋トレの後や、仕事の合間に、毎日の習慣にすること。それが、あなたの背中の筋肉が、本来の力を発揮するための、最高のサポートとなるのです。