なぜ水はたまるのか?「炎症」という関節内の火事
膝に関節液が過剰にたまってしまう根本的な原因、それは「炎症」です。関節の中で、いわば「火事」が起きている状態をイメージすると分かりやすいでしょう。では、なぜ、膝関節の中で、このような火事が起きてしまうのでしょうか。その最大の引き金となるのが、加齢などによって、膝のクッションである「関節軟骨」がすり減っていく「変形性膝関節症」です。軟骨がすり減ると、その摩耗によって生じた、目に見えないほどの小さな軟骨の破片が、関節液の中に散らばります。すると、関節を裏打ちしている滑膜が、これらの破片を「異物」と認識し、それらを排除しようとして、免疫反応を起こします。この免疫反応が「炎症」の正体です。炎症を起こした滑膜は、毛細血管を拡張させて、血液成分を関節内に漏出させると同時に、潤滑と保護のために、関節液の産生を、異常なレベルまで亢進させます。これが、関節水腫(水がたまる状態)のメカニズムです。また、スポーツや転倒などによるケガ、例えば、衝撃を吸収するクッションである「半月板」の損傷や、関節を安定させる「靭帯」の損傷も、関節内に急激な炎症を引き起こし、水がたまる大きな原因となります。さらに、関節リウマチや痛風といった、全身性の病気も、膝関節に強い炎症をもたらし、関節水腫を頻繁に引き起こします。つまり、水がたまるという症状は、原因は様々であれ、「滑膜が炎症を起こし、関節液を過剰に分泌している」という、共通のプロセスによって生じているのです。したがって、根本的な解決のためには、単に水を抜くだけでなく、この炎症という「火事」そのものを、いかにして鎮火させるか、という視点が、何よりも重要になります。