では、腰への負担を最小限に抑える「最高の座り方」とは、どのようなものでしょうか。その答えは、たった一つの、しかし最も重要な黄金律に集約されます。それが、「骨盤を立てて座る」ということです。骨盤を、立っている時と同じように、床に対して垂直に保つことで、その上に乗る背骨(脊椎)は、自然で理想的なS字カーブを描くことができます。このS字カーブこそが、上半身の重みを巧みに分散させ、腰への負担を劇的に軽減してくれる、天然のサスペンションなのです。この「骨盤を立てる」感覚を身につけるための、具体的なポイントをいくつかご紹介します。まず、椅子に深く腰掛け、お尻の肉を少し後ろにかき分けるようにして、左右の「坐骨(ざこつ)」という、お尻の下にある硬い骨を、座面に均等に突き刺すように座ります。この坐骨で、しっかりと座面を捉えることが、骨盤を安定させる第一歩です。次に、頭のてっぺんから一本の糸で、天井から軽く吊り上げられているようなイメージで、背筋をすっと上に伸ばします。この時、胸を張りすぎたり、腰を反らせたりするのではなく、おへその下(丹田)に、軽く力を入れる意識を持つと、骨盤が安定し、自然と良い姿勢が保てます。足裏は、両方とも、ぴったりと床につけ、膝の角度は90度になるように、椅子の高さを調整します。また、デスクワークの場合は、パソコンのモニターを目の高さまで上げ、視線が自然にまっすぐ前を向くようにすることも、頭が前に突き出るのを防ぎ、結果的に腰への負担を減らす上で非常に重要です。最初は、この姿勢を維持するのに、腹筋や背筋が疲れるように感じるかもしれません。それは、これまでサボっていたインナーマッスルが、ようやく働き始めた証拠です。この「最高の座り方」を、意識的に、そして根気強く続けることが、座りすぎによる腰痛から、あなたを解放するための、最も確実な道筋となります。