ツボへのアプローチは、指圧だけではありません。特に、長期間にわたって続く、慢性的な膝の痛みに対しては、「温熱刺激」を組み合わせることで、その治療効果を、さらに高めることができます。慢性痛の多くは、筋肉の硬直による「血行不良」と、気候の変化、特に「冷え」によって、悪化する傾向があります。ツボを温めることは、この二つの根本原因に、直接的にアプローチする、非常に有効な手段なのです。家庭で手軽にできる温熱刺激の代表格が、「お灸」です。最近では、ドラッグストアなどで、台座にシールがついていて、火を使うけれど安全に、そして煙の少ないタイプのお灸(せんねん灸など)が、簡単に手に入ります。血海(けっかい)や、足三里(あしさんり)といった、足のツボは、自分でも安全にお灸をすえやすい場所です。ツボの上に、お灸を乗せて火をつけ、じんわりとした温かさが、体の芯まで伝わるのを感じてください。熱すぎると感じたら、我慢せずに、すぐに取り外しましょう。火を使うのが怖い、という方には、「温湿布」や「使い捨てカイロ」をツボに貼るのも、簡易的ながら効果があります。ただし、低温やけどの危険があるため、カイロを直接肌に貼ったり、長時間貼り続けたり、就寝中に使用したりすることは、絶対に避けてください。また、蒸しタオルをビニール袋に入れて、ツボの周りを温めるのも、安全で心地よい方法です。これらの温熱刺激は、硬くなった筋肉を和らげ、血管を拡張させて、膝への血流を促進します。これにより、痛みを生み出している疲労物質が洗い流され、筋肉や軟骨に必要な栄養素が、届けられやすくなるのです。ただし、重要な注意点があります。膝が赤く腫れて、熱を持っているような「急性期」の痛みには、温熱刺激は逆効果です。炎症を悪化させてしまうため、この場合は、冷やす(アイシング)ことが鉄則です。慢性的な、鈍い痛みには「温める」、急な、熱を持つ痛みには「冷やす」。この原則を守り、ツボ押しと温熱刺激を、賢く組み合わせてみてください。
ツボ押しにプラスα!お灸や温湿布で効果を高める