膝が腫れぼったく、熱を持ち、曲げ伸ばしがしにくい。そんな時、よく「膝に水がたまった」と表現されます。この、多くの人々を悩ませる「水」とは、一体何なのでしょうか。その正体は、実はただの水ではなく、「関節液(かんせつえき)」と呼ばれる、私たちの関節にとって不可欠な液体です。膝関節は、骨と骨が直接ぶつからないように、表面を滑らかな「関節軟骨」で覆われ、さらに、関節全体が「関節包(かんせつほう)」という袋で包まれています。そして、この関節包の内側は、「滑膜(かつまく)」という薄い膜で裏打ちされています。関節液は、この滑膜から分泌される、ヒアルロン酸などを含んだ、少し粘り気のある液体です。普段は、関節内にごく少量(数ml程度)だけ存在し、関節の動きを滑らかにする「潤滑油」の役割と、軟骨に栄養を供給する「栄養補給」の役割という、二つの重要な仕事を担っています。しかし、何らかの原因で、関節の内部に「炎症」が起こると、この滑膜が刺激され、炎症を鎮めよう、関節を守ろうとして、防御反応として、関節液を過剰に分泌し始めます。これが、「膝に水がたまる」、医学的には「関節水腫(かんせつすいしゅ)」と呼ばれる状態の正体です。つまり、膝に水がたまるという現象は、病気そのものではなく、あくまで「膝の内部で、何らかのトラブル(炎症)が起きている」ということを、体が私たちに知らせてくれる、極めて重要な「SOSサイン」なのです。このサインを無視せず、なぜ水がたまっているのか、その根本原因を探ることが、膝痛改善への第一歩となります。