膝の痛みを自分で治す上で、絶対に避けては通れない、最も重要で、かつ効果的なアプローチ。それが、膝関節を、四方からがっちりと支える「筋肉」、特に、太ももの前側にある巨大な筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」を鍛えることです。大腿四頭筋は、膝のお皿(膝蓋骨)を介して、すねの骨(脛骨)に付着しており、膝を伸ばす際に働く、主要な筋肉です。この筋肉が、強力な「天然のサポーター」として機能することで、歩行時の衝撃を吸収し、膝関節の左右のブレを防ぎ、軟骨や半月板にかかる負担を、劇的に軽減してくれます。膝痛に悩む人の多くは、この大腿四頭筋が、加齢や運動不足によって、著しく衰えてしまっています。しかし、問題は、膝が痛い状態では、スクワットのような、体重をかけるトレーニング(荷重運動)は、かえって痛みを悪化させてしまう危険性があることです。そこで、膝に全く負担をかけることなく、安全に、そして効果的に大腿四頭筋を鍛えることができる、最も基本的なトレーニングが、「SLR(Straight Leg Raising:下肢伸展挙上)」です。まず、仰向けに寝て、片方の膝は90度に立てます。鍛えたい方の脚は、まっすぐに伸ばします。次に、息を吐きながら、伸ばした方の脚を、かかとを少し突き出すようにして、床から10cmほど、ゆっくりと持ち上げます。この時、太ももの前の大腿四頭筋が、硬く収縮しているのを、手で触って確認してください。その状態で、5秒から10秒間キープし、その後、さらにゆっくりと、脚を床に下ろします。この動きを、10〜15回を1セットとし、1日に2〜3セット行うことを目標にしましょう。痛みを感じる場合は、無理のない範囲で行ってください。この地味な運動こそが、あなたの膝を守る、最強の鎧を、内側から作り上げていく、最も確実な一歩なのです。