数ある首の筋肉の中でも、特にストレートネックと深く関わり、重点的に伸ばすべき重要な筋肉があります。それが、「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」です。この筋肉は、耳の後ろの骨(乳様突起)から始まり、鎖骨と胸骨に向かって、首の横を斜めに走行している、太くて長い筋肉です。頭を前に突き出す「スマホ首」の姿勢では、この胸鎖乳突筋が、常に縮こまって、ガチガチに緊張した状態になります。この筋肉が硬くなると、頭を前方に引っ張り、ストレートネックをさらに悪化させるだけでなく、様々な不調を引き起こします。胸鎖乳突筋のすぐ下には、脳へと向かう重要な血管(頸動脈)や、自律神経の束が通っており、この筋肉の緊張が、これらの神経や血管を圧迫し、頭痛やめまい、吐き気、耳鳴りといった、自律神経失調症に似た症状の、直接的な原因となることがあるのです。この重要な胸鎖乳突筋を、効果的に伸ばすための、少し応用的なストレッチをご紹介します。まず、椅子に座り、背筋を伸ばします。左の胸鎖乳突筋を伸ばす場合、右手を左の鎖骨の上に置き、皮膚を軽く下に押さえて固定します。次に、首をゆっくりと右側に傾け(側屈)、そこからさらに、顔を天井に向けるように、首を斜め後ろに倒していきます(伸展+回旋)。すると、左の首筋が、耳の下から鎖骨にかけて、ピンと強く伸びるのが感じられるはずです。この「最も伸びる」と感じる角度で、20〜30秒間、深い呼吸と共にキープします。反対側も同様に行います。このストレッチは、基本のストレッチよりも、よりターゲットを絞った、強力な効果が期待できます。ただし、首に痛みやしびれがある場合は、無理に行わないでください。日々のデスクワークで、無意識に硬くなっているこの胸鎖乳突筋を、丁寧に伸ばして解放してあげることが、ストレートネック改善への、大きな一歩となります。