「めまいがする、吐き気がする、疲れが取れない」。このような原因不明の体調不良で病院を訪れ、様々な検査をしても異常が見つからず、最終的に「自律神経失調症ですね」「ストレスが原因でしょう」と診断された経験はありませんか?もちろん、ストレスが自律神経のバランスを乱す大きな要因であることは事実です。しかし、その不調の「本当の根本原因」が、実は、首の骨格の歪み、つまり「ストレートネック」にある可能性が、近年、多くの専門家によって指摘されています。この二つの関係性は、まだ一般には広く知られていませんが、治療の現場では、極めて重要な視点となっています。自律神経は、体を活動的にする「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」という、二つの相反する神経が、シーソーのようにバランスを取りながら、私たちの体をコントロールしています。しかし、ストレートネックによって、首の筋肉が常にガチガチに緊張し、上部頸椎に歪みが生じると、生命維持の中枢である脳幹や、自律神経の重要な通り道が、常に圧迫・刺激されることになります。この物理的なストレスが、自律神経のシーソーを「交感神経優位」の状態に傾けてしまうのです。つまり、体が、常に興奮・緊張状態(闘争・逃走モード)から抜け出せなくなってしまうのです。その結果、心臓は常にドキドキし、血管は収縮して血圧が上がり、胃腸の働きは抑制され、筋肉はこわばり、眠りも浅くなります。これが、動悸、高血圧、胃の不快感、全身の倦怠感、不眠といった、自律神経失調症の典型的な症状の正体です。いくらストレスを減らそうと努力しても、首の構造的な問題が解決されない限り、体は物理的にリラックスすることができない。もし、あなたが長年、原因不明の自律神経の乱れに悩まされているのであれば、一度、その視線を「心」や「ストレス」から、あなたの「首」に向けてみる必要があるのかもしれません。
見過ごされる関係性、ストレートネックと自律神経失調症