スマホ頭痛の原因は、首や肩の筋肉の緊張だけではありません。もう一つの、そして非常に強力な引き金となるのが、「眼精疲労」です。スマートフォンという、小さな画面に表示された、細かい文字や画像を、私たちは、至近距離で、長時間、凝視し続けます。この行為は、私たちの眼、そして脳に、想像以上の負担を強いています。まず、眼のピントを調節している「毛様体筋」という筋肉が、常に緊張し続けます。近くの物を見る時、毛様体筋は収縮して、水晶体を厚くしなければなりません。この状態が長時間続くと、毛様体筋は、いわば筋肉痛のような状態になり、ピントが合いにくくなったり、目がかすんだり、視力が低下したりします。この眼の疲労という強いストレス信号が、脳に伝わり、自律神経のバランスを乱し、頭痛を誘発するのです。特に、眼の奥がズーンと重く痛むような感覚は、眼精疲労による頭痛の典型的なサインです。さらに、問題を深刻にしているのが、スマートフォンの画面から大量に放出される「ブルーライト」の存在です。ブルーライトは、可視光線の中でも、特にエネルギーが強く、波長が短いため、目の奥の網膜まで、直接到達します。この強い光の刺激は、目の疲れや乾燥(ドライアイ)を助長するだけでなく、脳にも直接的な影響を及ぼします。脳は、ブルーライトを「昼間の光」と認識するため、夜間にスマホの画面を見続けると、体内時計が狂い、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制されてしまいます。これにより、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりといった「睡眠障害」が引き起こされます。質の悪い睡眠は、脳と体の疲労を回復させることができず、翌日の頭痛を、さらに悪化させるという、負のスパイラルを生み出すのです。筋肉の緊張と、眼の酷使。この二つの要因が、相乗効果で脳を疲弊させることが、スマホ頭痛の、より根深いメカニズムなのです。
眼精疲労とブルーライト、脳が疲弊するもう一つの原因