肩が内側に入り、背中が丸まり、頭が前に突き出てしまう「猫背」。この不格好な姿勢は、単に見た目が悪いだけでなく、慢性的な肩こりや首こり、頭痛、さらには呼吸が浅くなることによる自律神経の乱れまで引き起こす、まさに万病の元です。多くの人が、この猫背を治そうとして、無理に胸を張ったり、背筋を伸ばそうとしたりしますが、その効果は一時的で、気づけばまた元の丸まった姿勢に戻ってしまいます。なぜでしょうか。その理由は、猫背の根本原因が、あなたの「意識」の低さにあるのではなく、長年の生活習慣によって作り上げられた、深刻な「筋肉のアンバランス」にあるからです。猫背の人の体の中では、特定の筋肉が「硬く縮こまり(過緊張)」、その一方で、その反対側にあるべき筋肉が「弱って伸びきっている(弱化)」という、綱引きのアンバランスのような状態が起きています。具体的には、体の前面にある胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)や、首の前側の筋肉は、常に縮こまって硬くなっています。この硬い筋肉が、ハンモックのように、肩や頭を前方へと、常に引っ張り続けているのです。一方、その裏側にある、背中の筋肉、特に肩甲骨を寄せるための「菱形筋」や「僧帽筋中部・下部線維」は、常に引き伸ばされて、使い方を忘れた「サボり筋」になっています。このサボり筋が、前からの張力に抵抗できずに、負けてしまっている状態が、猫背の正体なのです。したがって、猫背を根本から改善するためには、単に意識して胸を張るのではなく、「筋力トレーニング」によって、この弱ってしまった背中側の筋肉を、再び目覚めさせ、強く鍛え直すことが、絶対不可欠なのです。筋トレは、この筋肉のアンバランスという根本原因に、直接アプローチできる、最も効果的で、本質的な「姿勢の矯正治療」と言えるでしょう。
猫背の根本原因、「筋肉のアンバランス」を筋トレで断ち切る